疑惑でとどまらず、浮気が発覚、修羅場を経たあとに家庭に戻った人たちは、いったいどうやって日々の生活を送り、配偶者との関係を取り戻していくのだろうか。
浮気の修羅場を経験し、現在、針のむしろにいる人たちに話を聞いてみた。
目次
大学時代の後輩と浮気してしまった男性の話(45歳)
浮気して1年、携帯メールから妻に知られ、家庭内別居に陥っているのは、安西さん(仮名)45歳だ。
結婚して15年、本気の恋愛は初めてだった。
「浮気相手は大学のサークルの後輩です。三歳年下で、彼女も結婚していました。僕は金融関係の会社に勤めていて、彼女も似たような仕事。
五年ほど前にサークルの集まりがあったので、久々に会いました。仕事の共通点もあったので、それ以来、ときどき食事をする関係になったんです。
1年半くらい前かな、彼女が部署が替わって仕事がうまくいかず、落ち込んでいるというので食事に誘って、、、いつも明るい彼女がなんとなく小さく見えて、抱きしめたくなったんですよね」
落ち込んでいる人を目の前にすると、人はなんとかしてあげたくなるもの。相手が異性だと、そこから始める恋もとても多い。
食事のときに飲んだお酒が程よく回って、歩いている道にふと見えたホテルに誘い込んでしまった。
「そのときの彼女の乱れようが色っぽくて。女なんだなと改めて感じて、すっかりほれ込んでしまった。
彼女は『私、ここに二年くらい全然してない』と言っていましたね。
それは僕も同じで、同い歳の妻から拒絶されて一年くらい経っていました。妻がしたくないなら別にいいか、と思っていた時期もあったけど、やっぱりセックスって身も心もほっとするというか、
人間にとっては必要なんじゃないかと思ったんですよね。もちろん、彼女とだからよけいそう感じたんだけど」
お互いに仕事も家庭もある。彼は当時、小学生の娘と息子、彼女にも小学生の息子がいた。家庭を壊さないよう、仕事に支障をきたさないよう、秘めた浮気関係が始まった。
メールのやりとりは、ほぼ毎日。ただ、夜と週末はお互いにメールはしなかった。暗黙の了解でそうなったのだという。
だからめったにふたりで出歩くことはなく、あちこち場所を変えながらホテルにこもる関係だった。
妻が浮気相手に自白させた
しかし、十分に気をつけていたはずなのに、一年がたったころ、妻からいきなり浮気相手の彼女の名前を切り出された。
「誰からかわからないけど、家のパソコンに妻あてにメールが来たそうです。『お宅の旦那は浮気をしている』と。
そのメールアドレスはすぐに使えなくなっていたらしくて。それで疑った妻が、僕の携帯をチェックしたら、毎日、メールしあっている相手がいることがわかった」
大学時代の後輩だ、男女関係はないと言い張ったが、妻はすでに彼女宛にメールも電話もしていた。彼女は突っ張り切れずに白状してしまったようだ。
「白状すれば、あなたの家庭には黙っていると妻は言ったそうです。白状しなかれば、お宅の旦那にばらすわよ、と。
そう言われたら、彼女は浮気していることを認めざるを得ませんよね。妻はそういうことをすべておこなった後に、僕に切り出したわけです。
もう証拠は完全に握られていた。
妻の目の前で、彼女に「別れるしかない、申し訳ない」とメールを入れた。彼女からは、すぐに「わかりました」と返信がきた。
それから、仕事が終わって家にまっすぐ帰る日々。妻はごく普通の顔で迎えてくれたが、安西さんにとっては、それが非常に怖かったという。
「あなたはセックスが下手なのよ!」と妻に罵られ、、
夜、子供たちが寝静まると、妻が静かに切り出した。
「『何が不満で外に女を作ったの?』
その言い方が、ちょっとカチンと来ましてね。いや、僕が悪いのはわかっているけど、女を作るっていう言い方がね、、かといって、『本気で好きだった』とも言えない。
だから、『何の不満もない、出来心だった、申し訳ない』とひたすら謝りました。
『私がセックスしたくないって言ったから?』という問いにも『それとこれとは関係ない』と。
妻は、もともとセックスがそれほど好きなわけじゃないんです。前からそれはわかっていたから、今さら責めるわけにはいかない」
安西さんは何度も謝り続けたそうだ。
そして妻は安西さんに向かっておもむろにこう言ったそうだ。
「『私がセックスをしたくないって言ったのはね、あなたのセックスが下手だからよ!』
そう怒鳴ると妻は寝室への走り去っていた。リビングに取り残された僕は唖然としましたよ。強烈な一言だった。
もしかしたら、浮気相手だった彼女もそう思っていたんだろうか、彼女が別れを決めたのは、妻に責められたこともあるけど、僕ともうセックスしたくなかったからじゃないか、
そんなことを朝まで考えてしまいました」
そのまま一睡もせずに朝を迎え、安西さんは会社へと出かけていった。その日は仕事をしていても上の空。
昼休みに彼女にメールを送ったそうだ。
「きみは僕とのセックスで感じなかった?」と。
だが、返事は来なかった。返事が来ないということは、やはり自分のセックスは下手だったのか、と安西さんは思い込んだ。
「女性から見たら、何をくだらないことで悩んでいるんだと思うかもしれません。だけど、あのときの僕は、そのことに異常に心をとらわれてしまった。
ついに彼女の会社までに行って、彼女をつかまえて聞いたんです。妻にそう言われたといって。
すると彼女は『あなたは結局、自分のことしか考えられない人なのね』と。そこでまた頭をガツンと殴られたようなショックを受けてしまって、、」
妻に浮気していることが発覚したところから、安西さんは平常心を見失っていたのではないだろうか。万が一、妻がその理由で拒絶したのだとしても、彼女が性的に感じていたかどうかは、安西さん自身がいちばんわかっていたはずなのに。
浮気した旦那への妻の復讐だったのかもしれない
ひょっとしたら、それは妻の復讐だったのかもしれないと感じた。
安西さんの妻がセックスしたくなかったのには別の理由があった。だが、旦那の浮気が発覚したとき、意図したかどうかは別として、妻は旦那がもっとも傷つく言葉を吐いてしまったのではないだろうか。
「今になっておもえば、そうかもしれないと思います。あのときなぜ、彼女の会社まで行って、あんなことを訊いてしまったのか自分でもよくわからないんです。
本当は彼女と別れたくない一心だったのに、最後には彼女まで傷つけた。
いったい、オレは何をしているんだろうという思いが強かった」
旦那の浮気が妻からの意外な一言を引き出し、旦那はその言葉によって人生に大きな汚点を残してしまった。
そして家庭もギクシャクした。
安西さんは、なかなか立ち直ることができなかった。仕事が終わるとひとりで飲んだくれた。夜、家族が寝静まったことに、そっと帰る。
妻は食事や洗濯などは、それまで通りにしてくれたが、旦那に自ら話しかけることななくなった。
「週末の食事の時間が一番つらいんです。
家族そろって食事しているけど、話は子供たちと妻、あるいは子どもたちと僕。僕が子供にかこつけて『なっ』と妻を見ると、うなずきはするんですが、顔は一切笑っていない。
子供たちからお笑顔が消えました」
浮気発覚から半年経過しても状況は変わらず
半年ほどたったころ、安西さんは妻に思い切って話した。せめて子供たちの前では普通に接してほしい。自分が悪いのはわかっている、これから何年かけても償うつもりだ、
だからせめて今は子供たちに不快な思いをさせたくない、と。
「妻は『原因を作ったのは誰なの?』と。だから僕が悪いのはわかっていると繰り返すと、『それを開き直りって言うんじゃないの』と。
僕もだんだんいらいらしてきて、『オレにどうしろって言うんだよ!』と思わず怒鳴ってしまいました。
『わからないのよ、私にも』
そういって妻が泣き崩れるのを見て、彼女の悲しさが伝わってきた。『少し離れて暮らしてみるか』と言ったんだけど、首を横にふる。
『オレのことを軽蔑しているなら、それでもいいよ。子供たちが独立するまでは、とりあえずいい親でいてやりたいんだ』と僕は言った。
でも妻は『それを欺瞞というのよ』と。
妻の言うことは、いちいち正論である。こんなとき、つい正論を吐いて責める妻の気持ちもよくわかる。当然だとも思う。
妻の立場として、外で浮気して戻ってきた旦那を、どう受け入れたらいいのかわからないだろう。
そもそも受け入れて、このまま家族として暮らしていくことをよしとするのかどうかも、判断できないに違いない。
「そこから半年たちましたが、状況は変わらずです。さすがに飲んだくれてばかりもいられないので、今は普通に家に帰っていますが、食事には間に合わないことが多いので、テーブルに置いてある食事を自分で温めて食べています。
妻は起きていても、そういうときは寝室にこもっている。自分が食べた皿は自分で洗います。以前だったら、よほど遅くならない限り、妻が待っていてくれたんですけどね。
家が狭いので寝室は別にできないけど、僕は妻が寝るのを待って寝室に行きます。ときどリ便負のソファで寝てしまうこともあるけど」
安西さんは、妻とふたりきりで会話することは、まずないという。子供たちはぎくしゃくした両親の様子にすでに慣れてしまっているようだ。
このままでいいとは、安西さんは思っていない。一年たつのを機に、もう一度妻と話し合いたいと考えている。
いっそ誰か第三者を入れて話し合ったほうがいいのかなと思っています。
妻に何か要求があるなら、僕は改めるつもりもある。とにかく妻の本心が知りたいんですよ。だけど、妻は決して何を考えているのか、言おうとしない
もしかしたら、妻は思考停止状況に陥っているのかもしれない。旦那の浮気が発覚したときから、それについて考えるのをやめてしまったのではないだろうか。
そうでなければ、日常生活を過ごしていけないから。
セックスに応じてくれなかったことが浮気の原因なのか?
そう考えると、妻は安西さんをとても好きなのではないかと思えてくる。
後輩に寝盗られた悔しさはあるにしても、それだけではない深い愛情を感じられてならない。
安西さんは、これについて、ふぅっと大きなため息をつきながらこう答えた。
「ときどき、何もかも振り捨てて、どこかに行ってしまいたいと思うことがありますよ。
家に帰っても誰もオレのことなんて気にしていない。仕事にすべての神経を集中させようとがんばっていますが、たとえこれで出世したとしても、おそらく妻は喜んでくれないでしょうし。
一度、こういうことがあると、長い時間をかけて作ってきた夫婦関係も、あっけなく崩れてしまうんですかね」
それは立場を逆にして考えた方がよさそうだ。
もし妻が浮気をしたら、安西さんは平然と妻を受け入れることができるんだろうか。
やはり、この長い年月はなんだったんだろう、夫婦ってなんだろうと思い悩むのではないか。
「それはそうですけどね、、、」
どこか不満そう。安西さんは、男が浮気するのはしかたない、妻はそれを許すべきだと思っているのだろうか。
「そう思っているわけじゃないけど」
と言いかけて、彼は天を仰ぐように上を見た。
「内心、どこかでそう思っているのかもしれませんね。妻がセックスに応じてくれなかったという事実を踏まえて、僕が浮気したことはいけないことだけど、
許してくれたっていいじゃないか、きみだって拒絶したんだし、という気持ちがないといったら嘘になる。
心のどこかで、オレが100%悪いわけじゃないという思いがあるんでしょうね」
ついに安西さんは本音で話してくれた。
安西さんのこの気持ちもわからなくはない。もちろん、妻がセックスを拒絶しなかったとしても、彼が浮気をしていた可能性はある。
だが、結果として、妻がセックスに応じてくれなかったことが、浮気の一因と考えられなくもない。
人間は、だいたいにおいて、行動してしまったことに対して、あとからそれらしい意味づけをしたがるものだから。
針のむしろはいつまで続くのだろう。
妻の心はいつになったら溶けるのか。
それは安西さんにもわからない。
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