
モラハラの意味やその特徴は徹底分析!
「モラハラ」という言葉はだいぶ一般化され、多くの方が知る言葉とはなりましたが、「モラハラとはいったいどういう意味なのか」とたずねられたとき、自信をもって答えられる人はまだまだ少ないかもしれません。
今回はそんな方のために、「モラハラとはいったい何なのか」を詳しく解説していこうと思います。
目次
モラハラの意味
早速ですが「モラハラ」とはいったいどのような意味なのか?
モラハラとは、「モラル・ハラスメント」の略で、精神的暴力、精神的虐待のことです。
例えば、家庭内モラハラで旦那が加害者の場合、旦那はその態度や言葉で妻にいやがらせを繰り返し、大きな不安や苦痛、恐怖を与えます。
暴力や虐待というと、一般的に「誰のおかげで飯が食えると思ってんだ!」などと恫喝するような、乱暴な人物を想像すると思いますが、実態はそんなことはありません。
おおむね社会的評価が高く、やさしそうと言われるような外面のいい人物、「まさかあの人が?」と思われるような人が、人目を避けた場所で、ターゲットを選別して、精神的暴力をふるうのです。
巧妙で執拗ないやがらせが、典型的なモラハラです。
モラハラは職場や学校、友人間、地域の集まりなど、人が集まるところではどこでも発生しますが、ここでは家庭という密室で起こる夫婦間のモラハラをお話していきます。
モラハラの具体例

それでは「家庭モラハラ」の具体例をあげてみましょう。
具体例その1
午後6時半。いつもの時間に旦那が仕事から帰ってくる。
キッチンで夕食を作りながら耳をすませ、足音で今日の機嫌をさぐる。
ミシっという、いやな足音が聞こえた。体中に寒気が走る。
今日はダメ。目を閉じる。
旦那はいつものようにリビングには来ないで、玄関から風呂場に行ったらしい。足音が止まる。
物音は一つもしない。
胸がどきどきさせながら風呂場に行くと、旦那が、からっぽのバスタブをにらみつけ立っている。風呂場の何かが旦那を不機嫌にさせているのだ。
「どうしたの?」と言いながら青くなって風呂場を見渡す。
「なんで風呂のフタが閉まってないんだ!」
バスタブを洗ったあと、いつものようにフタを開けたままにしていた。
「ごめんなさい。閉めておけばよかったね」
必至に謝って震える手でフタを閉める。
旦那は足音高く玄関に向かうと、家が壊れそうな勢いでドアを閉めて出て行った。
そして一晩戻らなかった。
具体例その2
朝、いつものように魚を焼く。
じゅうじゅうと音を立てている焼き魚しか食べない。いつものようにタイミングをみて食卓に並べる。
リビングの隅で旦那は新聞を読んでいる。
「ごはん、できたわよ」
背中に話かけても返事がない。
「ごはん、できたよ」
しばらくして話かける。旦那は新聞から目を離さない。どうしよう、魚が冷めてしまう。魚が冷めたころ、旦那はテーブルにつき、魚の上に手をかざして温度を測るふりをした後、魚の皿をわきに置く。
「俺にこんな冷めた魚を食わす気か」
じっと魚の皿をにらみつける。
私はまた立ちすくむ
モラハラの特徴とは?

顔色をうかがうようになる
思いがけないときに理由もわからず怒られる妻は、しだいにビクビクと旦那の顔色をうかがうようになり、緊張する毎日を強いられます。
しかし、いくら旦那の顔色をうかがっても、旦那の爆発を止めることはできません。昨日は旦那を怒らせなかったことが、今日の彼の点火プラグになりうるからです。
妻には、旦那を怒らせない方法がわかりません。いつも神経を張り詰め、失敗しないようにと、祈るように暮らします。
日常的に繰り返される
ケース2の旦那は声を荒げたりしているわけではありません。どこか不気味で得体のしれない怖さは漂うものの、このよな旦那をすぐに「暴力旦那」と呼ぶことには抵抗があります。
なのに、なぜ妻たちはこんなに不安になり、手が震えたり、立ちすくんでしまうのでしょうか。
それは、「人の気持ちを踏みにじって不安にさせ、ささいなことを持ち出して、相手に非があるように怒り出す」といったことが、日常的に繰り返されるからです。
これがモラハラと呼ばれるものなのです。
最初にモラハラの概念を提唱したのは?

最初にモラハラの概念を提唱したのは、フランスの精神科医、マリー=フランス・イルゴイエンヌという人物でした。
この人物によって「言葉や態度によって、巧妙に人の心を傷つける精神的な暴力」に「モラル・ハラスメント」という言葉がつけられたのです。
これによって、日常に潜む、この巧妙な「見えない暴力」の存在や、そのために苦しんでいる人がじつはいっぱいいるということが、世間に知られるようになりました。
家庭内のモラハラは特に外から見えにくい
もちろん、言葉や態度による精神的暴力は、「モラハラ」という言葉が生まれる前から存在していました。
ですが、身体にキズが残るのでわかりやすい身体的暴力に比べ、モラハラは外から見えにくい上に、客観的な証拠を示すことが難しいため、他人に説明してもわかってもらえず、被害者は孤立しやすい傾向にありました。
特に、家庭内のモラハラは外から見えにくく、被害が深刻になりやすい傾向があります。
モラハラ加害者である旦那は、妻の言うことすべてを否定し、人格までも否定します。
それだけではなく、何を言っても徹底的に無視するなど、相手の精神を痛めつけるようないやがらせを繰り返すことで、妻の自尊心や判断力を徐々に低下させ、行動や思考までもコントロールしようとするのです。
ターゲットになった被害者はこうなってしまう
モラハラのターゲットになった被害者は、しだいに「その人らしさ」を奪われていき、気持ちが不安定になり、逃げ場のない精神状況に追い込まれていきます。
殴ったり蹴ったりするような身体への暴力はなくても、被害者の精神的ダメージは大きく、恐怖症状やPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状が現れてくるのです。
モラハラ行為のチェックリスト

ここでは、モラハラ旦那がおこなう典型的な例を挙げていきます。
いくつ該当すればモラハラと認定されるということではありませんが、客観的な目安にはなると思います。
旦那と知り合ってから今日まで、あなたが経験したものがどれぐらいあるか、チェックしてみてください。
- 怒鳴る。強い口調で命令する。
- 何時間もしつこく説教する。問い詰める。
- 土下座を強要して謝らせる。
- あなたが大切にしているものを壊す。勝手に捨てる。
- あなたが病気になっても看病しない。病院に行かせない。
- 財布・携帯を取り上げ、部屋に閉じ込める。
- 車やバイクに同乗させ危険運転し、抗議するといきなりあなたを降ろして去る。
- 「殺すぞ」「死ね」などと脅す。
- 「別れるな死ぬ」と脅す。
- 家族がかわいがっているペットを虐待する。
- 「出ていけ!」という。家から閉め出して中に入れない。
- 何を言っても無視して口を聞かない。
- 大きな音を立てて威嚇する。
- 壁やドアを壊して恐怖を与える。
- あなたの実家や友達をバカにする。
- 「頭が悪い」「役立たず」などと侮辱する。
- 異常な嫉妬をする。
- 料理に不満を言う。作っても食べない。
- メールにすぐに返信しないと怒る。
- 働くことを認めない。制限する。
- 家計簿を細かくチェックし、口を出す。
- 生活費を渡さない。
- あなたが外出するとき、事前に許可を取らせる。
モラハラの行為は、一つ一つはたいしたことではないように見えても、日常的に繰り返されると被害者の心は次第に壊れていきます。
被害者を受ける日々があまりに辛いので、意識的にしろ無意識にしろ、むりやり自分を納得させたり、思い出さないように心を封鎖してしまうのです。
私ってモラハラ被害者なの?

モラハラの被害者は、自分が被害になっていることに気づいていないことが多いのですが、その原因はどこにあるのでしょうか?
旦那はいつも意地悪なわけではないから
旦那はつねに月源で意地悪なわけではなく、ふだんはおとなしかったり、やさしくしてくれることもあります。
ときおり「いい人」の顔を見せるので、もしかして、旦那の言うように悪いのは自分かもしれない、私が怒らせなければ、旦那はずっといい人なのかもしれないと思うかもしれません。
でも、旦那のやさしさは、たとえば思いがけないプレゼントだったり、高級レストランに連れていったりといった、わかりやすい、表面的なやさしさがほとんどです。
旦那は妻が本当に望むことはしてはくれません。
友達や実家と疎遠になり、相談相手がいないから
モラハラを受けると、結婚前の友達や実家との付き合いを制限されていて、気軽に相談できる人が近くにいないという状況になりがちです。
あからさまに禁止されないまでも、友達とでかけて帰ってくると不機嫌だったり、その友達の悪口を言ったりするので、だんだん会いにくくなっているかもしれません。
一人で悩みを抱え込んでいると、客観性が失われ、適切な判断ができにくくなります。
友達や実家に相談しても、わかってもらえないから
一つ一つの出来事はささいなことに見えるので、妻が精神的な苦痛や不安を訴えても、周囲の人にはなかなか理解してもらえません。
逆に「あなたにも悪いところがあるんじゃないの?」とか「夫婦は我慢も必要よ」と言われ、「まだ私の努力が足りないのかしら」と相談する気力も奪われ、ますます一人で抱えこんでしまいます。
自分の意見を持ったり、考えを伝えるのが苦手になっているから
旦那から「頭が悪い」「常識がない」などと繰り返しけなされると、しだいに自尊心が低くなっていきます。
自分の気持を押し殺して、毎日旦那の顔色をうかがっているうちに、自分の意見を人に行ったり、自分の考えに従って物事を判断する、行動するといったことがだんだん難しくなります。
モラハラは「洗脳」「マインドコントール」に近い

モラハラの意味や具体例、特徴などをご紹介してきましたがいかがでしたか。
何度も言いますが、モラハラの行為一つ一つは、他人が聞くと「取るに足りないささいなこと」に思えてしまいます。
つまり、点でみるとわかりにくいのですが、くわしく聞いて点と点をつないでいくと、異常な全容が見えてきます。
モラハラが日常的に続いていると、当事者には、どこまでが普通でどこからが異常なのかがわからなくなります。誰にも理解してもらえないまま、長いトンネルのなかをさまよっているような感覚に陥ってしまうのです。
モラハラ旦那が意識的に「洗脳」や「マインドコントロール」をしようとしているのかどうかはわかりませんが、被害者の状態はそれに近いものがあります。
多くの被害者は「モラハラ」という言葉に出会って、自分の置かれている状況や被害に初めて気づいたとき、「目が覚めたようだ」と言います。
そのときに、モラハラ旦那がかけた魔法がやっと解けるのです。
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