世の中には「一人っ子はこんな性格」という、「色眼鏡」が存在します。その多くがマイナスイメージで語られることが多いため、一人っ子の母親は、「わが子もそうなりはしないか」と、どうしても過剰に反応してしまうケースがあります。
今回は、そんな一人っ子育児に悩みを持つ方向けに、一人っ子の性格を分析しながら、一人っ子への「色眼鏡」に対抗する方法をご紹介していきます。
目次
一人っ子の性格について考えてみよう
一人っ子はわがまま
まずは、「一人っ子はわがまま」という性格について、考えてみましょう。これは、一人っ子は何でも独り占めできるから、きょうだいのように互いに譲り合う心が育たないだろう、という発想からくるものです。
あるいは、きょうだいの誰かがわがままなことをしたら、他のきょうだいが「ダメじゃん!」と叱る、という発想もあるのかもしれません。
確かに、一人っ子は環境的に、他人とものを分け合う経験は少なくなるかもしれませんので、このような性格になってしまう可能性は否定はできません。
そんな性格にさせたくないなら
では、一人っ子をわがままな性格にしないためにどのようなことに気をつければいいのでしょうか。
もともと人間というのは、譲り合う生き物ではありません。親のしつけが不可欠なのは、一人っ子もきょうだいっ子も変わりありません。そこで両親がすべきフォローは、譲り合いのルールを教えることです。
「さあ、このケーキ、お母さんと半分こしよう!」
「全部食べないで、パパに半分取っておいてね。すごく楽しみにしてたよ!」
こんなふうに、両親がきょうだいの代わりになることは簡単です。そうした工夫は、常日頃から行っておくといいでしょう。
あるいは、子供の友達が家に来た際のおやつの時間に「みんなに同じ数ずつ分けてあげてね」と、あえて子供に総量を渡し、自分の手で他人と分け合う経験をさせてみるのも一つです。
一人っ子はのんびりやさん
次は「一人っ子はのんびりやさん」という性格について考えてみます。
ものの取り合いが日常的なきょうだいに比べて、一人っ子は誘い合いに慣れていないだろう、あるいは、そもそも必要がないから競うことに興味を持つ可能性が低くなるので、このような性格になりやすいと言われています。
そんな性格にさせたくないなら
確かに、競争心というものは、上昇志向を持って人生を歩むためには必要不可欠な要素、のんびりやさんの性格ではそれが形成されない可能性も否定できません。
ということは、一人っ子の子供に競争心を持たせるためには、家庭や放課後にできる範囲で、競争の機会を作っていく必要があります。
競争の内容は何でもかまいませんが、子供の勝てるものを親が探してあげるのが一番。精神医学や心理学では、一般的に、勝つ経験をさせた方が、子供が競争に興味を持つと言われています。
将棋でもトランプでも、最初のゲームで勝てないと、子供は2回目をやりたくなくなるものです。少々手間がかかっても、子供に勝つ経験をさせられるものを、根気よく見つけてあげましょう。
一人っ子はマイペース
次は「一人っ子はマイペース」という性格について考えてみます。これは、きょうだいは行動団体が多いから、他の子とペースを合わせて行動するのが得意だろう、という発想です。
しかし、きょうだいがいたら相手の立場を考えて行動できるかといえば、むしろ、きょうだい間の方が、相手の気持ちに遠慮することなく、マイペースで行動するような気もします。
これも、また、きょうだいがいてもいなくても、結局は親のしつけ次第ということになりますよね。
そんな性格にさせたくないなら
一人っ子であってもきょうだいっ子であっても、子供にマイペースな性格にはなってほしくないと考える両親もいらっしゃると思います。
しかし、そのような方はもう一度考えてみてください。マイペースな性格というものは良くないことなのでしょうか。
自分のペースを知り、それを守れるというのはむしろ優れた能力です。「自分は、この程度のことならできる」とわかっていて、それを確実にこなす、ということ、つまり自分の能力特性をしっかり把握していると言えます。
自分より能力が高い子に合わせようとして混乱してしまったり、能力の低い子に合わせて成長の機会を失う、といったことが、マイペースを維持できる子供にはありません。
マイペースな性格を直そうとするよりは、それを長所ととらえるほうがずっと賢明です。
一人っ子は友達作りが苦手
次は「一人っ子は友達作りが苦手」ということにについて考えてみましょう。きょうだいがいないため、お殿様のように育って相手の心がわからず、友達が作れないという発想です。
実際のところ、友達作りが苦手な子供に足りないのは、きょうだいなどではなく、他人とコミュニケーションを取る力です。特に子供のうちは「本音を打ち明け合う」といった複雑なコミュニケーションは必要ないので、単に「話す力」をつけていけばいいだけです。
フランクに話せる相手がいれば、子供は話す力を身につけていきます。その相手がきょうだいである必要はありません。むしろ親の方が、子供の話を根気よく聞いてあげれる分、適しています。
一人っ子をそんな性格にしないために
何を言ってもいい雰囲気を作る
それでは、一人っ子が「友達作りが苦手な性格」にならないために、どんなことに気をつければいいのか。それはまずは、両親が「家の中では何を言ってもいいのよ」という雰囲気を作ることです。思春期前の子供は親に何でも伝えたがるので、それに耳を傾けてあげればいいのです。
その際に重要なのは、子供の話しがどんな内容であっても、否定せずに聞くということです。
子供の言い分を認める
親に内緒にしたい本音を子供が持つようになるのは、思春期になってからの話です。それまでは、子供が親に本心を隠すような関係は絶対に避けなければいけません。
もしも、子供が、他人の悪口めいたことや暴力的なことを言ったとしたら、
「へえ、〇〇くんってブタでバカなんだ。あなたはスリムだし頭がいいもんね」
「へえ、〇〇君に死んでほしいんだ。お母さんも子供のとき、喧嘩して悔しくて、『あの子なんか死んじゃえ』って思ったことがあるなぁ」
と、まずは子供がそう考えること自体は正当だと認めるのです。だからといって、子供がそうした行動を取ってしまうと考えるのは早計です。
自分の考えを「そうなんだ」と聞いてもらえるだけで、子供は満足できます。そうして言い分を認められた子供は安心し、親に隠し事をしなくなります。
親密なコミュニケーションを取る上で、「両親には、何でも言っていいんだ」と認識させることが、非常に重要です。
一人っ子は内弁慶な性格になるのは事実
一人っ子の性格についていろいろと考えてきましたが、これだけは事実として言えることがあります。
それは、一人っ子は内弁慶な性格が多いということ。
一人っ子は両親の前では元気いっぱいで行動的なのに、外に出るとしゅんとして縮こまっているというケースが少なくありません。
ではなぜ、一人っ子はには内弁慶な性格な子が多いのか。これは、やはり、きょうだいとのコミュニケーションを持つ機会がないことが、大きいと言えます。
本音丸出しのコミュニケーションを経験できない
子供のうちのきょうだい関係には、まったく遠慮がありません。喧嘩ともなれば、「バカ」だの「ブタ」だの、差別的発言も平気で言い合います。
言い換えれば、そんなことを本音で言い合っても、関係性が壊れることがないという、ほぼ唯一の間柄なのです。他人の本音に触れておくのは、けっこう大事なことです。
なぜなら、外でいじめっ子にあってひどい言葉を投げつけられても、「でも人間って、本音ではこういうことを考えているんだな」と、すでにきょうだい喧嘩で免疫を得ていますから、それほどダメージを受けずにいられます。
しかし、一人っ子は「本音むき出し」の言葉に触れる機会がない、いわば無菌状態です。外できつい言葉に触れると、免疫を持たない心は一気に折れてしまう危険があるのです。
外で頑張ったら褒めてあげる
一人っ子の子供を内弁慶な性格にしないために、子供には「外で強いかどうかが大事」ということを、子供の行動をうまく利用しながら、教えていくしかありません。
勉強でも習い事でも、外で頑張ったらうんと褒め、反対に家の中をあまりストレスのない状態にしない。子供を内弁慶にさせず、上手に外に向けさせましょう。
昔の親は、子供が喧嘩して勝ってきたら、大喜びしたものです。「おお、でかしたじゃないか。オレの若い頃にはな」と、頑固おやじが、酒など飲みつつ自慢話をしていました。
その良し悪しは別として、今はそんな親もいなくなりました。決して喧嘩を推奨するわけではありませんが、そんな親でも、子供の心の成長に関して、それなりの役割を持っていたのかもしれませんね。
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- 理由1 「きょうだいがいなくてかわいそう」だから
- 理由2 一人っ子は甘やかされて育ってしまうから
- 理由3 子育て経験が少ない両親に育てられるから
ここでは、これらの理由とその解決法を一つ一つ掘り下げてみたいと思います。
続きはこちらへ>>一人っ子がかわいそうな理由とその解決法をまとめました。
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